脂漏性皮膚炎とは、主に顔、頭皮、耳の裏(うしろ)、鼻まわりなど、脂漏部位と呼ばれる皮脂分泌の多い箇所にできる湿疹・炎症です。
通常バクテリアなどから皮膚を守る、人の皮膚にすむ常在菌の一種である「マラセチア菌」が、異常繁殖することでおこります。
肌トラブルの要因は、3つの入り口があります。
脂漏性皮膚炎は、突然発症するのではなく、水面下で様々な要因が重なりあうことで表面に現れます。
例えば頭皮でいうと、洗浄力の強いシャンプーで必要な皮脂までも奪ってしまうと、皮膚が厚くなり、頭皮を守ろうと、より濃い皮脂を出します。
そして、保湿が足りていないことで乾燥し、かゆみ(頭皮)を生じる、そして大量のフケのような皮むけが起きる場合もあります。
また、すすぎが不十分で皮膚を荒らすことが原因になる事もあります。
まず症状を抑えようとするのではなく、お薬やお肌のお手入れ方法、食事といった観点で総合的にアプローチすること、また原因を見つけ排除することで、繰り返さない、悪化させないといった根本改善、また良好な結果を得ることができます。
症状が出やすい部位は、皮脂が出やすい鼻まわり、額、眉間などに現れやく、また、頬、頭皮、耳の裏(うしろ)などにもできます。
症状は、主にかゆみを伴う炎症が出て、赤みやブツブツなどの湿疹や白い皮脂の塊が出たり、皮むけがあります。
また、胸やお腹まわりが赤くなり、かゆみが生じる場合もあります。
アトピー性皮膚炎とは、ポロポロと皮がむける点で異なります。
「にきびダニ」や「アトピー性皮膚炎」、「酒さ」、「かぶれ」と良く似た症状なので、皮膚科によって違う診断を言われたとのお問い合わせも多いです。
なお他の人にうつるということはありません。
頬・額
また、頬や額に黄色いウロコ状のかさぶた(角質のかたまり)が出る方も多く、無理に剥がしてしまい、何度もカサブタが繰り返し、悪化する方のご相談も多いです。
人によって出方は様々です。
こちらでは実際に克服した方の秘訣やノウハウを写真とともにお伝えします。
克服後も再発などはなく、健康な素肌を維持されております。
食事の見直しや洗剤を変えることでマラセチア菌など常在菌のバランスが整い、改善される方も多いです。
枕が当たる部分に赤みやかゆみ(頭皮)などが出ている場合は、枕カバーやタオルに合成洗剤の成分が残ってしまい、トラブルを悪化させてしまっている可能性があります。
洗剤は石鹸ベースのものにし、使用量も是非気をつけてみてください。
(年齢は取材当時)
中原 昌子様(49才・女性)
突然顔中にかゆみ(顔)を伴う赤みとブツブツがひろがり、処方された薬(ステロイド剤)を使用し続けるも、肌トラブルは悪化の一方。
患部をさわらないスキンケアと食生活の見直しを始めて一進一退を繰り返しながらもおよそ4か月で脂漏性皮膚炎の症状が好転。
石木 智子様(仮名33才・女性)
皮膚科では脂漏性皮膚炎と診断を受け、顔、首、頭皮の皮がポロポロ剥け、かゆみ(頭皮)・かゆみ(顔)も出ていました。
【何を使用して改善するか?ではなく、何をやめれば改善するか?】ということに切り替え半年間で症状が落ち着きました。精神的なストレスがなくなり前向きにお手入れをされていらっしゃいます。
大川 妙子様(仮名23才・女性)
はがれかけた状態の角質の塊(かさぶた)が幾重にも重なって顔一面を覆う状態に。 トラブル克服のため徹底的にスキンケアと食事改善を実施し約10か月で好転。 以降再発もなく、発症前よりもきれいな素肌に。
肌を清潔に保ち、
水分での保湿を(維持)すること。
美容機器や化粧品で手軽に施術が受けれたり、自宅でもケアができるようになった一方で、間違ったケアや情報も多く出回っていますね。
また生活スタイルや環境の変化、そしてストレス社会で生きている中、肌へのトラブルも多様化しております。
今まで多くの方の肌を診てまいりましたが、どのような肌トラブルの場合でもスキンケアは大切です。
「肌を清潔に保ち、水分での保湿を(維持)すること。」
これはどのような肌にも共通です。
特に現在肌トラブルがある場合は、肌にとって必要な成分だけを配合したシンプルなスキンケア製品が望ましいですね。
若松 信吾
SHINGO WAKAMATSU
医学博士
皮膚科専門医 皮膚科認定医
東京女子医科大学 名誉教授